彩の国ビジュアルプラザ映像ホールでの上映会

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アニメフリップフラッパーズの非公式上映会「ピュアシアター」の会場である「彩の国ビジュアルプラザ映像ホール」での上映会開催に関する情報をまとめました。
1クールTVアニメの非営利上映会を念頭に、開催に興味を持たれる方の参考になればと考えて書いています。
ピュアシアターの開催経緯やその際の法律関係については前の記事をご覧ください。

この会場でできる事

「彩の国ビジュアルプラザ映像ホール」は325席、350インチ相当(16:9のHD映像の場合)のスクリーンがあり、本格的な機材設備を整えた映画館並の施設です。
機材は本格的過ぎて私のような素人に弄れるものではありませんが、こちらの会場では施設スタッフ2名体制で、映写や照明などの機材操作や映像ホール内との連携調整を行ってくれます。
ただし施設スタッフの仕事は基本的にそこまでで、イベント運営上の準備や受付等はイベント側のスタッフが行う必要があります。


各種設備

具体的に何をどのように使うかはイベントごとの個別相談事項ですが、ピュアシアターで使用した個所について一通り説明します。

BD上映

BDソースで上映する場合に必要な事はBDを持ち込んでスタッフに渡すだけです。ただし再生確認や上映用機器へのデータ転送をするため事前に持ち込むのが基本で、2週間以上前に持ち込むのが理想的です。
BDソフトに含まれるトレーラーやタイトル画面などは省略した本編のみで上映してくれますし、複数枚のBDもシームレスに連続上映してくれます。
メディアとの相性などによる再生トラブルはつきものですから余裕をもって準備するのが吉です。実際1回目の時は一時的に音声が無音になる現象が5~10秒ずつ3回発生しました。現象はBDの特定の巻で出たようでしたので相性的な問題があったのかもしれません。その時はそのまま続行したのですが、貸し出される連絡用PHSで再生エラー時に映写室と連絡を取って、例えば1分戻して再生し直しすることも可能です。
ただBD機器が民生品のためエラーを完全になくすことは難しく、音声でなく映像が乱れた事例もあったとのことですし、問題の性質によっては再生し直しても改善しない可能性もありますので、問題発生時の対処は可能な限り想定しておいた方が安心です。

BD以外の上映

自分で作成編集した映像を上映する場合はファイルを持ち込めば再生できます。USBメモリ、BD、HDD、インターネット経由など、手段は概ね何でもよいようですが、ファイルフォーマットなどの仕様確認や事前の再生確認が望ましいです。
ファン制作の映像を上映した際は、事前に編集済みなのが望ましいとのことでしたので全てつないだ1本にして渡しました。作品間の音量バランスだけは気を付けて調整しました。
プロジェクターは4K映像に対応しているとはいえBDの上映はHD相当となるわけですが、対応可能な形式で持ち込めば4Kでの上映も可能とのことです。ピュアシアターでは一部CG作品を4K上映が可能かもと検討したのですが準備時間不足で断念しました。

音響

音響設備も劇場並みですので迫力ある大音量で再生でき、自宅環境では聞こえない細かい音まで聞こえてきます。1回目も2回目もこんな音が入ってたんだ…という感覚を何か所も感じました。
音の再生に関しては、当日の開場前にホールで音量確認する程度で、基本的に施設スタッフにお任せでした。音量高めにとか低めにとかも指定できると思いますが、調整ポイントを良く把握していないと逆に失敗しかねない心配はあります。
音声再生に関する選択肢としてステレオとサラウンドがありますが、基本的にはソースメディアの収録方式で決まってしまうので、2chソースの場合はフロントの左右スピーカで再生することになりますし、5.1chソースの場合はサラウンド再生になります。
ピュアシアター2ではDPLIIによる5.1ch化上映を行いましたが、その時は事前に別途5.1ch変換した音声を合わせて上映していまして簡単でない面がありました。

BGM/BGV

開場前や休憩中に場内にBGMを流したり、スクリーンに静止画または動画を映すことができます。

マイク

場内アナウンス用にマイクを使用できます。ごく短時間の使用だけだと実質的に費用がかからない(おまけ?)こともあるようですが、使用内容によってケースバイケースかと思います。

ホール内からの映像出力

ピュアシアター2では休憩中にホール中央に配置したPCからHDMI出力した原画ビューアをスクリーンに投影して使用できるようにしていました。もっともステージを同時刻に展示でも使うための照明もあり必ずしも見やすいとは言えなかったのですがこれは企画の問題です。
ともかくHDMI接続により何かをスクリーンに映すことはできますので、ステージイベント等の用途があれば利用可能です。
なお、HDMI接続は機器との相性により映像出力に問題が発生することがありましたので、事前の接続確認が重要です。特にその表示がイベント進行上重要な場合は必ず実際の機器での事前確認が必要です。

ステージ

この映像ホールはスクリーン前にステージがあり、そこで何かを行うことも可能です。ピュアシアターでは昼休み休憩中に、ステージを展示台として使用して原画動画や他の資料の展示を行いました。

地がすり(じがすり)

これはステージ上に敷く黒いシートです。なくても上映できますがステージに反射した映像が視界に入りやすくなるかもしれませんので基本的には地がすりを敷くのが前提になるかと思います。

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ステージへの映り込み(映写室から撮影)

控室

ステージ裏にある控室がスタッフの荷物置き場などに使用できます。

ホワイエ・受付

ピュアシアターではロビーと呼んでいたホワイエ、ここには受付用のカウンターがある他、テーブルや椅子を使用しての展示や飲食もできます。
ピュアシアターの場合、会場直後のみスタッフが受付をして、他の時間は手が空いているスタッフがいる時だけ対応しました。想定される参加人数より席数が十分多い事から受付時間終了後は案内説明だけ置いて自由入場としていました。

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自由入場時の受付付近

ブザー

各パートの開始時にブザー(またはメロディ)を鳴らしてくれます。鳴らすかどうか指定できますが、あった方が区切りがわかりやすいという声を受けてピュアシアター2では毎回鳴らして頂きました。


費用

料金表が施設のウェブサイトにあります。 料金表 http://www.skipcity.jp/price/#ha

こちらの会場を使用するのに必要な料金は、会場使用料と設備使用料になります。
会場使用料は会場の使用時間で決まり、予約確定時に支払います。使用時間は施設の鍵を開けてから閉めるまでですから、上映時間に加えて入退場や休憩時間を加えた時間になります。料金は曜日と時間帯によって変わります。
設備使用料は実際の使用時間に基づいて後日請求されます。プロジェクターの使用料等は休憩時間を含まない正味の上映時間で計算されます。多少甘めの計算をしてくれるような気もしますが、場合によると思いますので多少変動しても問題ないように考えておいた方が良いと思います。

料金メニューの中でピュアシアターで使用した設備は、大型プロジェクターシステム、HD-VTR、音響装置システム、地がすりです。
BDから上映する場合に「HD-VTR」料金が必要になるとのことです。「音響装置システム」はサラウンドの場合には「音響装置システム(サラウンドシステム機能)」の方に変わり、多少料金が上がります。

料金の計算例として土日祝に1クール相当5時間程度の上映時間に入退場と休憩の時間を加えてピュアシアターよりは若干短く13:00~20:00とした場合、下記のようになります。

設備 単価等 料金(円・税込)
会場使用料 (午後)19,500+(3時間)5,610x3 36,330
設備使用料計 41,280
 音響装置システム 2,960x2(区分) 5,920
 大型プロジェクターシステム 6,100x5(時間) 30,500
 HD-VTR 840x5(時間) 4,200
 地がすり 330x2(区分) 660
会場使用料+設備使用料 77,610

会場使用料と設備使用料の合計で税込み7万8千円程度になります。
開始を午前にずらして10:00~17:00とした場合、会場使用料が (午前)9,480+(午後)19,500で計28,980円と7千円程低くなります。
使用時間や使用設備により増減するとしても、大雑把には1クールのアニメが7~8万円程度で上映できる感覚です。


利用の流れ

利用するまでの流れです。実際に検討する際は施設ウェブサイトにある「ご利用の流れ」も合わせてご確認ください。
施設スタッフは(開催日以外は)原則平日勤務ですので相談や打合せは平日の業務時間内になります。
単純な上映のみであれば実質的には大した打合せの必要はないこともあるかと思いますが、この会場の使用が初めての場合は会場の使い方や導線の確認も含め、申請前または事前打ち合わせ時に現地打合せをした方が良いです。

開催まで

まず電話で希望日の映像ホールの使用可否を確認します。
あとで申請書に使用時間帯や使用設備を記載する必要があるので、実施内容を交えて相談します。
遅くとも開催の1か月くらい前には申請書の提出(原則電子メール)が必要で、申請後1~2週間程度で結果がわかります。1年くらい前から申請可能なので日程を確定させるためには十分早めに申請するのが望ましいです。申請が通ったあとで会場使用料を銀行振込で支払うと予約が確定します。
開催2週間前までには開催時の流れなどを打合せします。ただし申請前の段階で十分内容が決まっているならば、申請前の打合せで兼ねることもできるかもしれません。
打ち合わせ時にメディアの再生確認もします。スクリーンに映写しての確認やホール内での確認は施設使用中の時や設備調整中にはできないため、事前に日程調整が必要です。
上映用メディアは打ち合わせ時に渡すか宅配便で送付します。
BGMなどのメディアは当日開始前に渡すことも可能ですが、再生トラブルがあると対策する時間が限られますので注意は必要です。

開催日から開催後

使用開始時刻に映像ホール入口に行けば中から鍵を開けてくれます。
上映自体は施設スタッフがすべてやってくれますので、上映自体に関して主催者がすることはほぼありません。開始前に再生音量確認を求められる場合がある程度です。
主催者側のイベントスタッフは受付等のイベント自体の運営をすればよい事になります。
上映の終了後は、後片付けをしながら、再生に使用したメディアの返却を受け、提示される使用機材の確認書にサインします。この手続き自体の所要時間は5分以内です。
その後は原状復帰して全員が退出すれば当日の作業は完了となります。ピュアシアターの場合は10~15分程度で退出できたと思います。
その後1週間程度で設備使用料の請求書が送付されますので銀行振込で支払えばすべて完了です。

準備資料

当日の進行を説明するため資料を作成し施設スタッフに事前の打合せ時に説明しました。

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進行表


その他のこと

会場に関する注意点

来場者の出したゴミはホワイエ内のごみ箱に捨てることができます。常識的な範囲を越えるようなものは問題があるかもしれませんが。
1階にコンビニと中華料理店がありますが、コンビニの閉店時間が早い点、弁当類の品ぞろえが限定的な事にも注意が必要です。併設施設があるため休日は家族連れ客でにぎわっていたりしますが、食料調達手段は限定的な立地ですので来場者にも注意してもらう必要があります。
コンビニが10日くらい前までお弁当の注文を受け付けてくれますが、非営利上映の場合は主催者による代金授受が問題になる可能性もありますから注意が必要です。また注文者が来ないキャンセル対策も必要になります。
また映像ホールの周辺含め家族連れや子供も多く訪れる場所ですし、公営施設ですので、展示内容などには一定の配慮が必要と思われます。

まとめ

この会場は電車+バス+徒歩で新宿駅や東京駅から1時間程度の場所で、広域から訪れる参加者にとって非常に行きやすい立地とは言えないかもしれませんが、実際に行ってみれば案外遠くはない印象もあります。
施設スタッフは対応できることについては親切に対応して頂きましたし、ピュアシアターではとてもよい上映会が開催できたと思います。他の同様のイベントにもお勧めできます。

以上2回の上映会イベント開催で経験したことを書きましたが、こちらの会場で上映会を開催される場合、また他の会場で開催される場合も何か参考になることがあれば幸いです。